トランスジェンダーの働き方【第3回・書き起こし】

皆さん、こんにちは!このチャンネルは、日本のどこかで平凡に生きるトランスジェンダー、ユウキとあんどうというアラフォーが、LGBTQに関する話題はもちろんのこと、日々感じるささやかなあれやこれやを気ままにおしゃべりするチャンネルです。

今回のテーマは「トランスジェンダーの働き方」

あんどう:今日のテーマは「トランスジェンダーの働き方」ということで、ちょっと主語が大きい気もします。だけど、大げさじゃなく、やっぱりトランスジェンダーとして生まれて成長して、いざ仕事を探そうという時に、僕たちの経験とかも踏まえて、「どんな仕事をしているんだろう?」とか、「どういうことで苦労したんだろう?」とか、大変だったことなどを話していけたらなと思っています。

どういう仕事・環境だったら、自分の我慢が少ないか?その中で自分ができそうなことはなんだろうか?って考えていくと、どんどん絞られていく

あんどう:ユウキさん、今どんな仕事をしているか、どのぐらい転職してきたか、というようなことを、話せる範囲で良いのでお願いします。

ユウキ:今の仕事は、ちょっとかっこよく言うとマーケティングみたいなことです。元々、Web業界が長いです。デザインに関わる方であったりとか、コンテンツを作る側だったりとか、データ分析とか、Webの業界の中でいろんな職種を経て、だんだんできる幅を広げていって、今の仕事をしているっていう感じです。

あんどう:元々、興味があった?

ユウキ:そうですね。興味はありました。接客業よりも、パソコン見て仕事をしたいなっていうのがありました。人見知りなんですよ。アルバイトで接客業をやったこともあるんですけど、いろんなお客さんが来てびっくりするようなこともあるじゃないですか?普段自分の日常では出会わないような、振る舞いとか言動とか、結構驚くことが多かった。
でも、パソコン使うお仕事であっても、お取引先があるので、人と関わるお仕事なんですけども(笑)
基本的には画面を見て作業してる方が、自分の精神的には合ってるのかなと思ったので、Webの業界が良いなぁって感じで、飛び込んでいったという経緯です。

あんどう:仕事を選ぶ時に、そんなに苦労はしなかった?要は、どういう仕事を選ぶか、何をしていこうかと考える部分とか。

ユウキ:そうでもないかな。そもそも制服がある職場、仕事は選択肢としてなかった。Web業界はすごく古い企業ってそんなにないかもしれないけど、創業年数が長いところだと(組織風土的に)固いのかなとか。大きい企業でいろんな事業があるうちの一つの部門に、Web系に関わるお仕事があるっていう感じだと、そのグループ全体の色々があったりとか。そういうのは(性差的に面倒なことがありそうなところは)ちょっと嫌だなって思ったりとか。

あんどう:トランスジェンダーだからこその、迷いとか、葛藤みたいなものもあったということだね。

ユウキ:どういう仕事とか環境だったら、自分の我慢が少ないだろうか?とか、その中で自分ができそうだなって思うことはなんだろうか?って考えていくと、どんどん絞られていくというか。自分が若い時はまだWeb業界が新しい仕事だったから、他の職種よりも自由かもしれないっていう印象があったかもしれない。

トランスジェンダーでなかったら、全然違うことをしていたかもしれない

あんどう:確かにそうだね。でも、そういうことがなかったら、全然別の業界だったかもしれないと思う?

ユウキ:やってたかもしれない。そういうこと、時々思うよね。心身ともに、男性か女性だった場合、そういうこと(トランスジェンダーとして悩んだり考えたりしたこと)に捉われなくても良いなら、全然違うことをしてたかもしれない。なんならもっと学生時代から充実してたかもしれないって思う。

あんどう:うん、わかる。いろんな方がいると思いますけど、もう学生時代とかぐちゃぐちゃだよね。

ユウキ:「心身ともに」というところで躓かず、何かを取捨選択する必要がなければ、もっと違う人生だったのかなって思ったりもしますよね。

あんどう:今が「正解」とか「間違い」とか、そういうことじゃないよね。そういう中でも選んだ業界の仕事で、どんどんスキルを伸ばしていって、自分のやりたいこともできてきて、今やってることに繋がってると思うから、何を学んでも「間違い」とか「正しい」とかじゃないと思う。でも一方で、そういう可能性みたいなことは、確かに考えるね。

仕事や服装が自由そうなイメージ、という視点で探していた

ユウキ:あんどうくんはどうですか?今のお仕事。

あんどう:僕は今、映像を扱うような仕事で、運営とか運用とかのいわゆる裏方みたいなことをしている。一回転職していて、以前は映像を作る側だった。撮影するところ、音声とか、ビデオエンジニアみたいな、技術的な専門職をやっていて、たぶんそれを選んだのは、自由そうだと思った。
スーツをカチッと着るような仕事よりも、わりと自由そうだなっていう風に思っていて、実際入ってみて、そうだった。

ユウキ:そもそも、毎日スーツで出勤しなくちゃいけないっていう仕事が、もう無理だよね。我々の場合はね。大丈夫な人ももちろんいると思うんですけど。

あんどう:本当にそう。だから、そういう視点で探して、なおかつ、服装とかも考えて決めた。

あんどう:だけど、一回失敗してるのよ、就職活動を。

ユウキ:「失敗」って、どういうこと?

大学生の頃の就職活動の中で、つまずきがあった。そして、兄から言われた言葉

あんどう:大学を卒業する時に公務員試験を受けたんだよね。その動機は本当に、ぶっちゃけ何をやったらいいか全然わからなかったから。でも、公務員だったら給料も安定的にもらえるし、自分が他のことをやりたいと思った時に、空いた時間とかでいろいろできるんじゃないかなと。
それで、同じくらいの時期に、トランスジェンダーのカウンセリングで病院に通っていて、診断書をもらっていた。その時は一年くらい通院しないと診断書が出ない(時間がかかる)から、手術をしたいと思っていたわけではないけど、いつかそう思うかもしれないという気持ちもあって通院してた。

ユウキ:当時、カウンセリングに通うのは、早い方だよね?

あんどう:そうだね。早い方だったと思う。だから、面接の時点でその診断書を持ってた。やっぱり俺も若いし、診断書もあるからと思って、履歴書にも「男性として働きたいです」みたいなことを履歴書にも書いたはず。俺はもう当時は、若さ満点というか、正しいことをしてるというか、ちょっと冷静じゃないし、思い込みの激しいところがある子供だったんだよね。

ユウキ:約20年くらい前ね。

あんどう:だけど、面接ではもう明らかに面接官が戸惑ってた。もう、「いや、トイレとか更衣室も、どうしたらいいかわからない」「あなたのために、特別なものを作れない」みたいなニュアンスのことを言われたりもした。それで、面接はあえなく落とされた。

ユウキ:それはショックじゃなかった?

あんどう:めちゃめちゃショックだったし、怒りももちろんあったけど、その時に兄と少し話をしたのね。あんまり会話の多い兄弟ではないんだけど、兄から結構厳しいこと言われた。
「例えば、お前がもし面接に来たら、気の毒だなとは思う。だけど、お前と同じ能力の人間がもう1人いたら、お前を取らない」って。
「ただでさえ、教えないといけないこと、初期投資として必要なことがあるのに、それにプラスして、言い方が悪いけど煩わしいものが増える。それだったら、同じくらいの能力の人がいるなら、俺だったらお前を選ばない」って言われた。
それって本当にぶっちゃけた話で、兄だから言えることだと思った。当時は、それが現実なんだなって理解したんですよね。
悲しいは悲しかったし、なんでそんな世の中なんだろうとは思ったけど、一方でこれが現実なんだなっていう風に思ったのをすごく覚えてる。だからその後、就職活動する時は、普通に履歴書の性別欄は女性に丸をつけて面接を受けた。

ユウキ:うんうん。

時が流れて、今年の夏に転職。面接官の言葉から、確実に社会が変わってきていることを感じた

あんどう:時は流れて、今年の夏に僕は転職活動をしました。その時に、最初の公務員の時と全く同じことをしたんですよ。トランスジェンダーであるということを企業側に伝えて、男性として働きたいことを履歴書にも書いた。そしたら、面接官の方は、「それは本当に当たり前のことだと思います」って僕に言ってくれました。
その面接官の一言は「社会を構成している人の中に、そういう人たちがいるということは、当たり前のことだと思います」という意味だと僕は解釈したのだけど、確実に何かが変わってきているという風に思ったのね。一番最初のつまずきから、15~20年後ぐらい経って、こんなに変わったんだなっていうことを、身を持って感じました。

ユウキ:うん。ちょっとずつ変わってるよね。

あんどう:性別とかセクシャリティーなどを理由に差別をしてはいけないっていうことだったり、職場で不利益なことが起きないようにということだったり、建前だとしても、一応浸透というか、念頭にあって。それが実施・実践できてるかっていうと、もちろん全然別の話だから、会社によりけりなところもあると思う。今でも、そういうつらい思いをしている学生とかいるかな?就職活動でこんなこと言われちゃったとか。

ユウキ:まだあるでしょう。大企業とか、多様性に対しての推進をしていきますってメッセージを出してくれているところもあるけど、中小企業ってまだまだ取り組んでるところとそうでないところがあると思う。もしこれを聞いてくださっている中に、会社の組織開発とか人事に関わっている方がいらっしゃったら、ぜひ、採用の時とか、面接の時に、多様性に配慮していることとか、その人自身を見て採用しているっていうようなメッセージとかを出していただいたりとか、就業規則を決めていただくとか、何か取り組みしてもらえるとすごく嬉しいなと。

あんどう:うん。そういう発信をしてくれている会社は受けやすいよね。
今まさに、就職活動や転職活動している方とか、これからどうやって仕事を選んだらいいんだろう?って悩んでる方とか、逆に人事担当で今働いていますという方とか、いろんな方がいると思うんですけど、意見とか相談とか何でもいただけると嬉しいです。

二人:今回はこのあたりで終わりにします。ありがとうございました!

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