コンプレックスと社会性【第2回・書き起こし】

コンプレックスと社会性

皆さん、こんにちは!このチャンネルは、日本のどこかで平凡に生きるトランスジェンダー、ユウキとあんどうというアラフォーが、LGBTQに関する話題はもちろんのこと、日々感じるささやかなあれやこれやを気ままにおしゃべりするチャンネルです。

今回のテーマは「コンプレックスと社会性」

あんどう:今回は第2回目の配信です。テーマはズバリ「コンプレックスと社会性」。かなり難しい言葉を使っちゃったんですけども、簡単に言うと、コンプレックスの話です。
別に「トランスジェンダーだから」ということじゃなくて、いろんなコンプレックスをお持ちの方が世の中でいらっしゃると思うんです。(トランスジェンダーという括りだけで)僕とユウキさんを一緒くたにすることもできないけれど、ふたりともトランスジェンダーとして生きていて、コンプレックスによって、ちょっと生きづらさを感じちゃってるよね、みたいな話ができたらと思っています。

周りとのバランスと取る自分と、本来の自分の境目がわからなくなってくる

あんどう:ユウキさんは、コンプレックスってありますか?

ユウキ:ありますね。子供の頃の話をすると、今のようにトランスジェンダーという言葉はまだなかったので、自分が何者かっていうこともわかっていなかった。だけど子供ながらに、いわゆる「みんなと違う」っていうことを感じる。

例えば、当時はランドセルが黒か赤の2色のみで、当たり前のように男の子は全員黒、女の子は全員赤。自分は黒が良かったけど、選ぶことなく赤のランドセルを買ってもらうことになった時に違和感があった。

他にも、小学校で使う絵の具を入れるバッグは、学校指定のものがあって青か赤か好きな方を選べたけれど、綺麗に男の子は青、女の子は赤、っていう風に分かれていた。自分は青が好きだったから青を選んだけれど、同級生から「なんでお前は女なのに青を選んでるんだよ」みたいなことを言われた。

そういうことが日常生活の至るところにあると、自分ってちょっと周りと違うんだなって気づく。それがなぜなのか、理由がわからないまま日常生活が進んでいくので、自分を抑えなくちゃいけない、周りとのバランスを取らなきゃいけない、と思うけど、一方でそこには馴染めない自分がいて乖離していくというか。

おかしい人と思われたくないっていう気持ちもあって、本来の自分らしさと、社会に馴染んでいくための自分の(両方が長い間続くと)境目が結構わからなくなってくる。そんなことを大人になって改めて感じますね。

あんどう:そうだね。僕はわりと、人と違うことということにプラスして、自分は良くない存在なんだって思い込むようなネガティブなタイプだった。こうでなきゃいけない、何か良い行いをしなきゃいけない、徳を積もう、みたいな。そういうことを結構考えてた。コンプレックスによって、ちょっと考え方がねじれたり歪んだりしてるところもあるのかもしれない。

だけどすごく難しいなと思うのは、僕が本来、本質的にめちゃくちゃ悪人で、悪いことをめっちゃしたい人間だったかっていうと、そういうわけじゃない。わりと元々、何か良い行いをしようと思ってるタイプっていうか。
だから、どこからどこまでが本当の自分で、どこからがいわゆる人からの見られ方を気にして演じている部分なのか、みたいなのもわからなくなってくるんじゃないのかなって思う。

ユウキ:そうだね。本来の自分がいて、だけど、社会に馴染むために全く逆の別人格を作り出したとかではないんだよね。ただ、周りと比べると別に押し殺さなくてもいいようなシーンが多いように感じるので、もしかしたら本来の自分は少し違ったかもしれないと思う、みたいな感じだよね。

あんどう:そうだね。

「マイノリティの人たちって、こういう感じなんだ・・・」「すごく非常識」って思われないように気をつけたい、と思う気持ちがある

ユウキ:あとは、学生時代を経て、社会人になると結構こういう自分でも普通に働けるし、子供の頃ほど周りと違うことを(対面で)なんやかんや言わないじゃないですか?大人同士の社会では。

あんどう:うん。思ってても言わないね。

ユウキ:だから、逆に自分が余計気をつけようと思うようになりましたよね。

あんどう:「気をつけよう」というのは、どんなことを?

ユウキ:例えば自分が「トランスジェンダーです」って、どなたかに伝えた時に、もしかしたら相手にとっては人生で初めて出会うトランスジェンダーかもしれないわけですよね?そういう時に「マイノリティの人たちって、こういう感じなんだ・・・」「すごく非常識」とかって思われないようにしたいなっていうのはありますよね。

あんどう:それはわかる。本当に「こういう人たちだから・・・」と思われたくないように、なんかちょっと勝手に看板を背負ってる気持ちになったりしてね。40歳も過ぎて、あんまり言いたくないんだけど、なんかちょっと「本当の自分って何だっけ?」ってなったり。

ユウキ:そうなんだよね。

あんどう:自分でもびっくりしちゃうし、40代になって、こんなことを考えるとは思わなかったんだけど、「ちょっと過剰なじゃないか?」「人からどう思われてるか?」とか、本当にそういうことを思ったりする。元々そういう性格なんだったら、それはそれでいいのかなと思うこともあったり。

いろんな状況の人がいるであろうっていうことを想像しながら、コミュニケーションを取るっていうことが、すごく大事

あんどう:どういうことを「社会に馴染む」って言うんだろうね?

ユウキ:でも、我々馴染めてないかというと、きっと馴染んでると思うんですよ。

あんどう:うん、そうだね。

ユウキ:何を持って「馴染む」っていうのも(定義が)結構難しいかもしれない。自分が属している環境が、どういう環境かっていうことにもよるのかなと思う。
例えば、自分は転職してここ数年間は、LGBTQに寛容な会社で働けているので、職場内の雑談とか普段の会話の中に、そんなに抵抗なく馴染んでいるけれど、逆にダイバーシティ推進みたいなことがあんまり会社で行われていない社風であった場合、「なんで結婚しないの?」っていう会話とか、子育てしている人が多ければ子供の話が出てきた時に居心地の悪さを感じる人もいるわけじゃないですか?
いろんな切り口によって、自分が馴染めているか・いないかの感じ方は違うのかなっていう風に思うんですよね。

あんどう:それってもう本人の問題じゃないよね。

ユウキ:そうだね。トランスジェンダーとかに限らず、世の中にはいろんな悩みとか、コンプレックスとかを抱えてる人たちがいることを前提として、自分も含めたそれぞれが、いろんな状況の人がいるであろうっていうことを想像しながら話す、コミュニケーションを取るっていうことが、すごく大事なのかなって思う。

いろんな人の「こんな場面やこんな言葉に違和感を持った」という話を聞きたい

あんどう:僕は、自分自身がまだ見えていない人だったり、違和感を持っていたり、なんかこの言葉がちょっと嫌なんだよねとか、こういう時ちょっと苦しく思うんだよね、みたいなこととかをすごい知りたい。それは別にトランスジェンダーとかLGBTQとか関係なく、いろんな人が違和感を持っている話をすごく聞きたいなって思う。

ユウキ:うん。そういうことをぜひ、アンケートフォームとか配信先にあるレター機能などから送ってほしいです。いろんな人から、「こういう時に、こういう場面で、こういう会話に違和感を持った」というようなことをたくさん教えてもらって、またここで我々が発信していくことによって、ちょっとずつ思いやりの輪が広がると良いなぁ。

あんどう:うん。本当に僕も学びたいです。

映画を見た時にも、LGBTQ系の視点としてはどうかな?と考える一方で、偏りなく客観的にちゃんと考えられているか怖くなる時もある

あんどう:気がつくと、ちょっとお堅い感じになってるんじゃないかと思うので、話を変えて。最近何か良いことあった?

ユウキ:最近はピクサー映画の「マイエレメント」を見に行きました。火・水・風・土の4つのエレメントが出てくるお話。火に水をかけると消えちゃうじゃないですか?だから、そういう打ち消しあってしまうエレメントとは付き合っちゃいけない、というような思想がある。一つの世界に住んではいるんだけど、同じエレメント同士のエリアで暮らしている。

あんどう:ちょっと深いんじゃない?その話。

ユウキ:主人公は、火のエレメントのキャラクターで、水のエレメントのキャラクターのサポートを受けて仲良くなっていく、というストーリーそのものもいろいろ考えさせられる映画だったし、LGBTQのことに例えたらっていう視点に置き換えて考えることもあったし、映像もすごく綺麗だったので、見に行って良かったなと思いました。

あんどう:(水が火に)触れたら、消えちゃう相手を好きになる、っていうことですね。さっき言ってたけど、例えば映画を見た時とか、他のことでも、何かを見て解釈する時にLGBTQ系の目線としてはどうかな?とか、やっぱりどうしたって自分の目線って絶対外せないっていうか。
「客観的にちゃんと見えてるかな?」「偏ってないかな?」って、たまに怖くなるし、すごい気になる。でも、自分ならではの視点、自分にしかない視点って言えば、そうなのかもしれないけど。

ユウキ:うん。例えば、日常での会話の中とか、メディアに出てる主張とかの中で、こういう言い方をする時は、たぶんLGBTQのことは入ってないんだろうなってことを感じた時に、逆に自分がちょっと偏った見方なのかなって思ったりもするよね。

あんどう:なんかやっぱり寂しい気持ちにもなるよね、そういう発言とか。たぶん頭の中にないんだなって。

ユウキ:入っていたら、たぶんこの言葉はもう少し違う表現になっているんだろうなって思うこととかあるよね。別にそんなこと気にしなくてもいいのかもしれないけど、逆に切っても切り離せないものなのかなっていう風に思ったりもする。

あんどう:うん。本当にそうだね。というわけで、今回は第2回目の配信でした。「私はこういうところで、ちょっともモヤモヤしてしまう」とか何でも良いので、もしよかったら皆さんの感想とかご意見をいただけると、大変嬉しいです!また次回、よろしくお願いします!

二人:ありがとうございました!

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